「自分」がわからなくなるとき(5)~「自己一致」が成功を引き寄せる

先週、行動に魂をのせるためには、「自分」の中の多くの「自分」の声を聴き、それをそのまま受け止め、再決断をする、という手間が大事だ、と書きました。きょうは、その続編で、このsoul searching(魂を探す)のプロセスこそが成功を引き寄せるために必要なのだ、というお話です。

私は、「○○の法則」とか「○○のすべてがわかる」とか「○○の仕方」という、いわゆるHow to本が好きで、マネー本、成功原則本、「品格」本とかをよく読みます。先週、田島隆男カウンセラーが取り上げた「夢をかなえるゾウ」や、つい最近まで本屋の平台を占領していた「シークレット」も楽しく読みました。

これだけ多くの成功原則本があって、しかも大体同じような話なのに、このテの本は売れ続けています。それだけ「成功したいのに、なかなか引き寄せられない」と感じている人が多いということでしょう。なぜなのでしょうか。「夢をかなえるゾウ」は「やりつづけないとあかん!」と言っています。そういうこともありますね。

成功原則の本は、読んだだけでは何にもなりません。どれも実践してナンボ、です。ん?やってみた?でも、何も起こらなかった?そうですか。1冊丸ごとやってみました?「これは意味なさそうだからいいや」とつまらないエクササイズをとばしたりしませんでしたか?

多くの成功原則の本は、「自己一致」、つまり「する」と「したい」を一致させる作業を、小さなエクササイズをくりかえすことで達成しようという仕掛けになっています。「人をよろこばせる」という課題を出し、「成功したい」自分と「人をよろこばせたい」自分を共通の目的でつなぎ、「したい」気持ちをパワーアップさせて「する」(行動)につなげます。あるいは、「人に頼みごとをする」という課題を出し、「成功したい」自分と「人に頭なんか下げたくないやい!」という自分の和解を図る、などなど、期せずして「自分」の中のてんでばらばらな方向を見ているたくさんの「自分」をあぶりだしては、「成功したい」という一つの方向にまとめあげる地道な作業をするように構成されているのです。それをお気に入りだけつまみ食いしたら、どうなるでしょうか?そっぽを向いた「自分」たちが取り残されてしまいますね。

「自分」の中の数ある「自分」たちの中に強い反対意見をもつものがいるのに、そのことに気づかずに、思いがけないところで、「自分」が「自分」を裏切るということは、実は、日常よくあることです。言わなくてもいいことを言ってしまったり、ここ一番の仕事に大遅刻をしてしまったり、本命の彼とのデートの待ち合わせ場所を勘違いしてすれ違ってしまったり。「肝心なところでの致命的な失敗」で、「成功を引き寄せ」られなくなってしまった経験、ありませんか?

少し意地悪な目でみれば、あなたが、「意味がない」とエクササイズをとばしたこと自体、あなたが考える「成功」に納得していない「あなた」の中の「あなた」の仕業だったのかもしれません。また、もっと巧妙に、「やるだけはやる」けれど、「本気でやらない」ため、「やっただけ」で終わらせる反逆児の「自分」もいるかもしれません。

逆に、「自分」の中の多くの「自分」が声を揃えて、「それがしたい」「それが欲しい」というときには、集中力が生まれ、その人の行動に一貫性が出てきます。「うっかり大失敗」が減り、行動がメッセージを持ち、多くの人を動かし始めると、「夢」や「成功」」が現実のものとして近づいてきます。

「成功」のようなポジティブなものを欲しがっていない自分がいるとは思いにくいものですが、実際には、人はいろいろな理由から「成功したくない」と思うようです。そのなかには、気づくとばからしく思われるような誤解がもとになっていることもあります。あなたの人生の中で思い通りになっていないところがあるとすれば、「あなた」の中に、その計画に反対票を投じている「あなた」がいるのかもしれません。その言い分、一度ゆっくり聞いてみてはいかがでしょうか。「急がば回れ」で、この作業はあなたが欲しいものを引き寄せる力をつくってくれるはずです。

私は、カウンセリングの中で、なるべく多くの「自分」の声を聴く、というプロセスを大事にしたいです。そのプロセスが「腑に落ちる」解決策を見つけるベースになる、と考えるのです。「自分」がわからなくなるほど多くの「自分」に出会うことが、「納得のいく」人生を歩むことにつながるとしたら、それもまた楽しいと思いませんか?

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この記事を書いた人

みずがきひろみのアバター みずがきひろみ 心理カウンセラー

カウンセリングサービス所属心理カウンセラー/神戸メンタルサービス講師・トレーナー。外資系投資会社で20余年株のアナリストとして活躍。自身の離婚問題をきっかけに心理学を学び始め、2008年からカウンセラーとして活動する。13年で8,000件以上の個人カウンセリングを実施、グループカウンセリングや大人数の癒しのワークショップも多数開催している。著書に『母の呪縛をといてありえないほど幸福になる方法』(河出書房新社)がある。

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